「硫安」・「尿素」のような窒素肥料ばかりでは食味が落ちると思うんですが…?

通常の農法において窒素が効きすぎれば、食味は落ちます。しかしカルテック栽培は全国で、とても美味しい米ができるという評価を得ています。その理由は、
・施すのは「硫安」・「尿素」であっても、土中の微生物の働きでアミノ酸(有機栄養)に変えて作物に吸収させている。これは決して味を悪くせず、むしろ旨味や香りを増す。
・カルテック栽培では地力を主体として、不足分だけの窒素を補っており、余分・過剰な窒素を与えて分ゲツや生長を促進することをしていない。だから窒素によって味が落ちることは無い。適度で良質な窒素は、むしろ食味を高める働きをする。
・カルシウムを充分に与えているので、栄養バランスの上で、窒素過多の問題はほとんど起こらず、米が非常に美味しくなる。
であると考えています。

肥料の三要素のなかで窒素は施すのに、P(燐酸)・K(カリ)はなくて大丈夫なんですか? 稲には珪酸も必要だと言われますが…

植物が必要とする栄養素は、本当はN(窒素)・Ca(カルシウム)の2大栄養素と、P(燐酸)・S(硫黄)・Mg(マグネシウム)・K(カリ)の4種の中量要素、そして微量要素と、珪酸などの有用要素です。
稲ワラが田圃に還元されて、微生物の働きでその成分が有効化すると、中量要素・微量要素は ほとんど補う必要がありません。実際上、不足しやすいのはN(窒素)・Ca(カルシウム)の2大栄養素だけなのです。もしN(窒素)・P(燐酸)・K(カリ)が同量ほど含まれる肥料を使い続けたり、P(燐酸)の過剰な施用を繰返していると、P(燐酸)・K(カリ)が残留して 作物,土壌,環境に好ましくない影響を及ぼすこともあります。

稲が吸収した珪酸は、稲の体のなかで、ほとんどが茎葉に含まれています。稲ワラを鋤き込んで、この珪酸を土に還元し、微生物の力で有効に再利用すれば、ほとんどの田圃で、別に珪酸を施す必要はありません。

肥料は何を使うのですか?

窒素・単肥として、「硫安」・「尿素」を用いますが、他のものは用いません。「硫安」・「尿素」は最も安価な肥料ですが、また最も効果的な肥料でもあります。この他に施す成分は、カルシウム栄養(カルシウム肥料)だけです。

「硫安」は田圃の表層の土に吸着されて上根から吸収されやすいので、分ゲツを促進するのに適しています。「尿素」は田圃の深層まで浸透しやすく、斜下または下へ伸びている深い根から吸収されやすいので、葉よりも穂を作る方に効きやすく、幼穂形成のための肥料として適当です。このため穂肥だけは、どんな肥料よりも「尿素」をお勧めします。

元肥(基肥)はやらないという話ですが、やらなくても十分な量の米が出来るんですか? 元肥をやらないと、初期に分ゲツが進まないのではないですか?

米は地力によって育てます。試しに全く無肥料で作っても、米が反収7俵(420kg)程度は出来る田圃が多いものです。これに適度な追肥を加えれば、充分に8俵(480kg)以上の収穫が得られます。元肥(基肥)や活着肥を施して初期に窒素が効いていると、根の伸びが弱い、葉が過繁茂になる、倒伏しやすい体質になるといった問題が起ります。

カルテック栽培では、無機肥料が効いていない状態で田植えをしますから、葉色は濃くならず、見た目では非常に寂しい状態で約1ヵ月ほど経過します。しかしその後、出穂50日前・分ゲツ肥(硫安追肥)の頃以降には、急激に分ゲツが進んで、穂数は充分に確保できます。
とはいっても、実際に田圃に入って調べると、初期にも分ゲツは正常に進んでいることがわかるはずです。もし本当に分ゲツが足りないとすれば、苗の体力不足、深植え、ガスわき、特別な低水温など、肥料以外の要因による障害です。

また、初期に分ゲツが進みすぎると、むしろ分ゲツ過多や、ラグ期の長期化による無効分ゲツ化によって刈り取り時に1株穂数が少なくなる場合が多いので、必ず穂肥頃に茎数を数えて判断して下さい。

カルテック栽培は「秋まさり」型の作り方ですから、原則として元肥や活着肥は施しません。窒素肥料で無理に分ゲツを多くすることは避けて下さい。

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